スコットランドの独立の賛否を問う住民投票が日本時間(2014年9月18日)15時頃からスタート。結果は日本時間の19日午後には分かることになる。
世界が注目する今回の独立騒動。その経緯や影響(メリット・デメリット)をまとめてみた。
スコットランドってどんな国さ?
面積は約7万8000㎢・人口530万人で、ともに北海道と同規模の国。
スコッチウィスキーやスカートのような民族衣装のキルト、最近ではハリーポッターが生まれた国として有名。スコットランドの独立を題材にした映画『ブレイブハート』がある。
現在はスコットランド、ウェールズ、北アイルランドとともに連合国家「イギリス」の一か国として属している。
なぜスコットランドの独立が注目されているのさ?
日本に住む我々にとっては振って湧いたような今回の独立騒動。実はかなり前からのその動きがあったが、今回実施された国民投票前の世論調査で初めて独立賛成派が反対派を上回り、現実味を帯びてきたことで世界の注目が集まった。
先月(8月)に行われた世論調査では6割以上が反対派を占めていたが、9月6日に行われた世論調査で賛成派が過半数を超え、その後の11日の世論調査では反対派が過半数を超える、といった流れで非常に拮抗している状態だ。
この世論調査は国民の90%以上が回答しているというデータもあることから、情報の信頼度が高いことがわかる。回答していない10%の浮動票によって賛否が決まると言える。
著名人の賛否の声
今回の独立騒動については各界の著名人もその意向を表明しており、スコットランド俳優のショーン・コネリーは独立賛成・歌手のスーザンボイルやハリーポッターの作者 J.K.ローリングは独立に反対している。
エリザベス女王も「将来について慎重に投票した欲しい」と注目している。
また、何とか独立を避けたいイギリスのキャメロン首相は「もし私のことが嫌いでも、私は永遠に首相ではない。現政権が嫌いでも永遠に続かない。しかしあなた方がイギリスから去ったらそれは永遠に続くことになるのです」と話して反対票を投じるよう訴えた。
キャメロン首相は今週2回も自らスコットランドに足を運び講演していることからこの問題の大きさが見てとれる。
スコットランド独立によって懸念される影響とは?
もしスコットランドが独立すると世界にどのような影響を及ぼすのか。
それには3つの可能性が考えられる。
1.経済(通貨)への影響
現在のスコットランドはイギリスの一部のため通貨はポンドを使用している。このポンドについて、独立賛成派は独立後もポンドの使用を希望しているがイギリス政府は独立した際はポンドの使用を認めない意向を示している。
同時にイギリスから独立することでスコットランドはユーロからも脱退する形となるため、仮に独立したとしても通貨がどのようになるのかは不明瞭だ。
そしてスコットランドの経済力はイギリス全体の約10%を占めているため、ポンドの下落は避けられない。
スコットランドにとってはイギリスに属していた方がスケールメリットが働いて経済面で有利なのになぜ独立を?という声もあるが、独立派はスコットランド側の海には北海油田があるので自立した経済を営むことができると考えているようだ。
2.世界中で独立機運が高まる
スコットランドが独立することで、世界中で「独立国家をつくること」自体の機運が高まる可能性もある。
もともとスペインのカタルーニャやバスク・イタリアの北イタリア・カナダのケベックなどの地域でも潜在的な独立の意思があるとの声もあり、スコットランド独立となればその流れにのる形で各地域の独立派の動きが活発化するかもしれない。それらに伴って国境線が引きなおされる、といった可能性もある。
3.国連安全保障理事会の常任理事国の変更可能性
現在の国連は戦勝国であるイギリス、フランス、ロシア、中国、アメリカが常任理事国(パーマネント5)として非常に強い権限を持っている。
しかしスコットランドが独立し、その流れに沿う形でウェールズや北アイルランドなどにも独立の流れが生じた場合、イギリスが常任理事国からはずれる可能性も考えられる。
そうするとその空いた枠に日本やドイツをはじめ近年発展のめざましいインドやブラジルといった国々の中から新たな常任理事国が誕生する可能がある。
世界的に強い権限をもつ常任理事国が変更した場合、世界情勢に非常に大きな変化をもたらすことになる。
独立がスコットランドにもたらすメリット・デメリット
当のスコットランド人にとって、イギリスから独立することにはどのようなメリットとデメリットがあるのだろうか。
スコットランド独立のメリット
一番大きいのは先に述べた北海油田の利権だ。いまはイギリスが管理している北海油田を独自に管理することでその経済的恩恵を享受することができる。一説によると北海油田を支配することで1人当たりの所得が年間約17万円増えるとの試算もある。
また、ほかに具体的にはスコッチウィスキーの酒税を自由に決めることができるなど、スコットランド人単独で自由に国家を運営できる。政治的に現在のイギリスは保守主義に傾倒してきたといわれているが、それに反対した左よりの体制をとることも可能となる点も重視されている。
スコットランド独立のデメリット
デメリットはイギリスの先進国としての地位を失うことがあげられるだろう。
特にスコットランドの高齢層にとっては現状の福祉・年金が傾く可能性が指摘されていたり、消費の面でも食料品の値段の多くが上がると見られており生活に支障が生じるかもしれない。また、政治的にも独立後の他国との関係や300年続いたイギリスの統治システムから離れて新しい制度を構築する際に生じる混乱などのリスクがある。
ネットユーザーの声
今回のスコットランド独立問題についてネットでは、
・私はスコットランド独立しないと思うに一票
・スコットランド独立とかまたイギちゃんの体調不良が増えるね
・スコットランド独立ってのは水面下でビルダーバーグが仕掛けてる話で、日本の道州制においても同じだ。「分割して統治する」「民族の結束を絶つ」これがNWOであり、国連が国連軍となる目的のゆえんである・・
・スコットランド独立投票☆ いろんな面で日本にも影響あるから、感心があるなあ!
・スコットランドが独立したら、英政府は「£を使わせない」と言い、EUは「加盟を認めない」と言い、圧力を加えてるが、現実問題として放置出来るかな?スコットランドが「ならば?を使う」と言ったら英国政府は「ならば£を使って欲しい」と考えるだろう。そこまでスコットランド人は読んでるのでは?
・スコットランドが独立したら、イギリスも国号を「イングランド・ウェールズおよび北部アイルランド連合王国」とかに変更せざるを得ないよなぁ
・日本の沖縄も心配です。
・スコットランド独立賛成派の活動資金の8割を提供してるのが宝くじを当てた夫婦。日本で一等当てたら豪勢な家を買うとかそういうもんだが、この人たちは歴史を買うつもりらしい。
・スコットランド YESとNOのプラカードを持っている人達の服装の違いを見ればわかる YES派は独立すれば生活保護費が増えると思ってる 民主党の子ども手当と同じ
などの声が上がっている。
これらの多大な影響が懸念されるスコットランドの独立投票。
結果独立になったとしても実際に独立するのは再来年(2016年)の3月となる予定だが、決定した瞬間から世界は大きく動いていくことになる。
このことについてはあなたはどう思う??